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Tuesday, October 6, 2020

「脱プラ」で紙包装にひねり、消費財ブランドの挑戦 - Wall Street Journal

再生可能紙で包装されたスナック菓子「Yes!」

Photo: Nigel Roddis/PA Wire/Zuma Press

 消費財メーカーはプラスチックから紙製の梱包(こんぽう)へ移りつつあるが、商品の中身が腐ったり湿ったりするのをいかに防ぐかという難問に直面している。

 規制の圧力や消費者の厳しい視線にさらされる中、食品や飲料、洗浄スプレー、日用品のメーカーにとってプラスチックごみの削減は大きな課題だ。スイスの食品大手ネスレや英蘭系の同業ユニリーバなどの企業は、リサイクルの難しいプラスチックの代替として紙を活用し始めている。

 企業幹部は紙を採用する理由として、再生可能な資源でリサイクルが容易なうえ、消費者がどのゴミ箱に捨てればいいか混乱せずに済むことを挙げている。プラスチック製のストローや袋、フルーツトレー、飲料用シュリンクラップは着実に紙や段ボールで置き換えられつつある。

 こうしたトレンドは加速するとみられている。特に欧州では、プラスチックごみの削減へ向けた新たな規制が導入され、そのうち英国ではプラスチック包装に課税している。UBSの推計によると、欧州のプラスチック包装市場のうち食品、飲料、日用品といった領域で合わせて11%(約94億ドル相当)が来年以降、2031年までに紙包装に取って代わられる見通し。世界全体では、同期間に紙製品がプラスチック市場の387億ドル相当を奪う市場機会があるとの推計だ。

 だが紙には大きな欠点もある。食品を新鮮に保つ特性がないため、ポテトチップスの袋やベビーフードのパウチ、野菜の袋に使われる最もリサイクル困難なプラスチック類の代替としては不向きだ。

 「プラスチックは機能性が高い。耐水性、耐油性で密封しやすい」と指摘するのは包装紙メーカー、米ウエストロックのパトリック・リンドナー最高イノベーション責任者(CIO)だ。「紙にプラスチックのような特性を持たせようとするのは、とてつもない技術的挑戦だ」

 急速に浸透している技術の一つに、紙にコーティングを施して酸素や液体、湿気、油への耐性を実現するものがある。ただ、紙にプラスチックのような性質を持たせれば紙のリサイクルが複雑になる。欧州の法案はプラスチック・コーティングした紙を使い捨てプラスチックとみなして規制対象にする恐れがある。

 加工食品で世界最大手のネスレはスナック菓子「Yes!」で、プラスチックやアルミニウムの代わりにコーティングした紙包装を使い始めた。同社パッケージング研究所のゲルハルト・ニーダーライター所長によると、コーティング材料はプラスチックだが、紙のリサイクリング工程で溶解する。大変の紙コップやサンドイッチ箱はこれと異なり、プラスチックのライナーが堅くのり付けされているためにリサイクルが困難になる。

ネスレは先ごろ、フランスで固形ブイヨン「マギー」を再生可能な紙包装に変えた

Photo: Nestle

 ネスレは先月、固形ブイヨン「マギー」を紙包装にした。Yes!やインスタントココア「ネスクイック」用包装材のコーティングを強化し、油脂への耐性も備えた。

 これまでのところ、ユニリーバやネスレといった食品加工業界の企業による変更は、一部商品に限られ、数カ国でしか導入されていない。

 紙の使用を広げるには保存期間や気候が大きな障害になると幹部らは語る。ネスレのニーダーライター氏によると、紙包装のネスクイックはプラスチック包装に比べ保存期間がおよそ半減したため、1袋当たりの分量を減らした。欧州は湿度と気温が比較的低く、アジアやアフリカの一部地域より紙包装を導入しやすいという。

 一方、プラスチックメーカーは紙包装も環境に対し特有の脅威をもたらす上、生産にさらなる資源を使うことになると指摘している。仮に企業が一気に紙包装へ転換すれば、以前から続く森林伐採の懸念が再燃する可能性もある。

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