オーストラリアが導入した、たばこの箱の包装にブランドのロゴ表示などを禁じる規制について、世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関の「二審」に当たる上級委員会は10日までに、規制は正当との判断を示した。

「一審」の紛争処理小委員会(パネル)は2018年に、規制は貿易制限に当たるとした、葉タバコ生産国のホンジュラスなどの訴えを退けていた。上級委の結論は最終決定となり、オーストラリアの勝訴が確定する。

オーストラリアは12年に世界で初めて、たばこの箱に、ロゴやイメージカラーなどの宣伝表示を禁じた。ロイター通信によると、同様の規制はその後、英国、フランス、ニュージーランドなどでも導入されてきた。

喫煙による健康被害を訴え、今回の案件でもオーストラリアを支援してきた世界保健機関(WHO)も、上級委の判断を歓迎。テドロスWHO事務局長は10日の記者会見で「公衆衛生上の勝利だ」と述べた。

上級委を巡り、WTO改革を訴える米国の反対で「裁判官」に相当する委員の補充ができず、昨年12月以降は機能が停止。一方、4件は継続処理されることになり、今回の案件が最後となった。上訴中の残る11案件は、新委員が補充されるまで放置されることになる。(共同)